新型コロナウイルス関連の緊急事態宣言とサブリース会社の対応

 当社は、建物所有者から建物1棟を借り上げて、テナントに転貸しているサブリース会社です。当社は、テナントから400万円(消費税別)の賃料収入を得ており、建物所有者には、毎月300万円(消費税別)の賃料を支払っていますが、テナントに入っているバーやカラオケ店が休業要請に応じて、営業を休止しており、賃料の大幅な減額を求められ、テナントからの賃料収入が150万円ほどになってしまいそうです。どのように対応したらよいのでしょうか?

  1. サブリース会社からは、テナントに対し、売り上げの大幅な減少などがあった場合でも、家賃の支払いのために国や地方自治体による給付金・協力金などの補助や、政府系金融機関・民間金融機関による実質無利子の融資などの支援を受けられる場合があることを説明し、それらの申請を促して、できる限り賃料の支払を受けられるよう交渉します。
    (厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000624607.pdf)
  2. しかし、これらの補助や支援を受けることができない場合には、サブリース会社としては、建物所有者との協議、テナントとの協議がそれぞれ必要となります。
  3. サブリース会社が定額で家賃を支払っている場合(家賃保証している場合)には、テナントからの家賃支払い猶予や減免の要請に応じてしまうと、逆ざやのリスクを負うことになります。そこで、テナントと合意する前に、建物所有者との間で、賃料の支払猶予や一部免除等についての協議を行う必要があります。
  4. 建物所有者とサブリース会社間の協議が合意に至れば、その内容についての合意書を締結し、その上で、サブリース会社とテナントとの間の合意書を締結する必要があります。
  5. なお、サブリース会社の立場として、オーナーの信用を維持するために、保証家賃を支払い続ける方針を採る場合は、サブリース会社が自己のリスクとして、テナントからの家賃支払い猶予や一部免除等の要請について、応じるか否かを判断することになります。
  6. また、家賃保証・空室保証をしていないで管理手数料を得るだけのいわゆる家賃パススルー型のサブリースであれば、テナントの賃料減額要請に応じるか否かの判断は、建物所有者の損益に直結することなので、サブリース会社が間に立って、建物所有者とテナント間の調整を行うことになります。
  7. ただし、この場合も、法律関係は、建物所有者とサブリース会社の賃貸借契約、サブリース会社とテナントの転貸借契約となるので、それぞれの当事者間で賃料の支払い猶予や一部免除等の合意書を作成した方がよいでしょう。