会社の破産と社長の個人破産
私は、父から受け継いだ小さな建設会社の社長をしています。この度、会社が2回目の手形の不渡りを出し、会社について破産申立をせざるを得なくなりました。
私は、金融機関からの借入について、個人で連帯保証をしているので、私個人も破産申立をしなければならない状況です。個人について破産申立をすると、今後の生活はどうなるのでしょうか?
- 代表者個人について破産申立を行い、破産手続が開始すると、裁判所が選任した破産管財人が破産者の財産の管理処分権を有することとなり、破産手続開始決定時点で破産者が有していた一定の価値ある財産は、破産管財人が換価したうえで、債権者への配当に充てられることとなります。
- そのため、自宅不動産を保有しているような場合には、自宅から引越をしなければならなくなり、また、解約返戻金が高額な積み立て型の生命保険に加入していたような場合には、生命保険も破産管財人が解約をすることとなります。
他方、借家に居住していたような場合には、賃料の支払を継続できるのであれば、そのまま住み続けることが可能となります。 - 破産管財人が換価し、債権者への配当に充てられる財産は、破産手続開始決定時点において破産者が有する財産なので、破産手続開始後に、就職先を見つけて、給料を得れば、その給料は新得財産として、自分の生活費として支出することができます。
- 最終的に、破産手続において、裁判所から免責許可決定を受けられれば、債権者への配当がなされた後の残額の債務について、破産者は、原則として、支払義務を免れることができます。例外として責任を負わなければならないのは、財産を隠したり、ギャンブルなどによって多額の負債を負う等の免責不許可事情がある場合です。また、税金や養育費等、そもそも、免責の対象とならない性質の債権もあり、このような債権については、免責を受けても支払義務が存続することとなります。
- 過去の事例では、会社の社長が個人破産した場合でも、従前の取引先等の会社に就職したり、個人で事業を開始したりして、破産開始後の生計を立てている方が多いです。また、会社の破産手続が一段落した後、新たに会社を設立して、事業を始めた方もいます。高齢の方で再就職が難しい場合には、年金で生活を維持することが一つの選択肢になっています。