事故の被害者となって働けなくなった役員の逸失利益の請求

  1.  飲食店の店舗正面入口で会社の社長が転倒して後遺障害を負って損害賠償請求した事案がありました。
  2.  損害保険会社は、この社長の逸失利益の算定となる基礎収入について、男性学歴計・全年齢平均賃金に基づく年収(役員報酬の39%)を主張しました。
  3.  会社役員の役員報酬には、労務を提供したことに対する対価の部分と、役員の地位に基づく利益配当の実質を持つ部分(実質的利益配当部分、情誼に基づく部分、節税目的の加算部分など)が併存し、裁判例では、労務対価部分は、逸失利益を算定する際の基礎収入となるものの、利益配当部分は、基礎収入に含めないという判断がされています。

     そのため、社長が怪我をして働くことができなくなった場合の逸失利益として認められる金額は、役員報酬額よりもかなり低い金額になる場合も多いのが実情です。

  4.  そこで、当事務所では、社内会議議事録、出張報告書、稟議書などの様々な資料を収集し、社長の業務・就労の実態を詳細に主張・立証することで、基礎収入を役員報酬の67%に増額させることができ、相当な補償を受けることができた事案があります。