内容が不明確な遺言書による登記
- 当事務所では、遺言書に記載された文言の意義が不明確であったり、遺言書に添付された図面が精密なものではなかったりした場合に、遺産である土地の分筆登記・相続を原因とする所有権移転登記ができるかといった相談を受けております。
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遺言書の文言が不明確だった例
- 例えば、自筆証書遺言において「X(被相続人)死亡した後土地及び家屋その他をY(被相続人のうちの一人)に無料にて申し送り度し」と記載されていた遺言について、Yが遺産であるXの自宅土地建物について、相続を原因とする所有権移転登記ができるかということが問題となりました。
- この問題については、当事務所で自筆証書遺言の検認手続を受任するとともに、当該遺言に基づいて相続財産たる不動産について相続登記ができるのかどうか、司法書士と協力し法務局に確認することとしました。
- このとき、法務局との折衝になれた司法書士に依頼することで、法務局と一定の議論をした後、登記が出来るとの見解を得て、相続登記の手続きをスムーズに進めることができました。
- 遺言書に添付された図面が不明確であった例
- 公正証書遺言に、図面が添付され、一筆の土地を分筆して相続人に分け与える内容の遺言が作成されていましたが、分筆図面の各点に座標値が記載されておらず、周辺の土地との位置関係にも若干のズレが存在する状況でした。
- 法務局では、そもそも、相続した土地について、分筆登記手続きを行う場合は、相続人全員の共同による申請が必要であるとして、遺言により分筆した土地を取得するとされた相続人が単独で登記申請手続きを行うことは認めないという見解でした。
- また、相続人間では以前から揉めていて、共同申請ができる状況でもありませんでした。
- この遺言に基づく登記を可能にする方法がないか相談を受けた当事務所は、土地家屋調査士・司法書士と法務局を訪れて、協議を行うとともに、法務省民事局第二課に照会する等して、裁判手続きによって分筆登記を実現する方法がないか調査を行いました。
- その結果、公正証書遺言と所有権確認の訴えによる判決を組み合わせることで、遺言書添付図面に沿った分筆登記と相続による所有権移転登記が可能であることが確認され、訴訟手続きを経たうえで登記を実現して解決した事案があります。
- 公正証書遺言を作成する場合でも、上記の事例のように、遺言内容の実現について、難しい問題が生じる場合があります。当事務所では、遺言者の意思を実現できる遺言書の作成や、自筆証書遺言の内容を実現するための手続に関するアドバイスを行っております。